父性の復権 ~耳鼻科のおっちゃんに教わった「力強い愛情」~

なんだか前回、前々回と、

優しさについて考える感じの記事が続いてますが。

真面目な連載の完結編。


昨日、耳鼻科に行きました。

おっちゃん先生は20年前からおっちゃん。

処置がガサツで、喉とか毎回オェッてなる。

子供心にすごく苦手に思ってました。


でも大人になって久々に対面して、

すごくよく分かる彼の愛情深さ。


丁寧に丁寧に「優しく」やる、

それだけが優しさじゃないんですね。


手早く的確に終わらせつつ、

「男がこのくらいで騒ぐな、強くあれ」

っていうメッセージが診察中に脳みそに飛び込んでくるんですよ。

異論は認めます。


これを僕は「父性的な愛情」だと思ってます。


表面的な優しさをみんなが求める現代、

傷付きたくない、ストレスを感じたくない。

不快なものはすべて目の前から排除されて当たり前。


けどどこまでいっても社会って厳しいんです。

温室から社会に出たときに、ギャップで挫ける。

そんな時に、自分は間違ってない、

社会がおかしいって思っちゃう。


ありのままの自分が輝ける世の中であるべきだって。


だけど、現実はそうじゃない。

「お前はそのままじゃダメだ」

そういって尻を叩いて鍛えてくれる愛情、

なんとか一人前にしてあげようと面倒見る眼差し。


これがいますごく貴重な気がします。

時代的には流行らないみたいですが。


これに対して、

「あなたはそのままでいい」

というのが母性的な愛情。

家族がどんな自分でも受け入れてくれる愛情です。


気を付けるべきなのは、

他人でこんな聞こえのいいセリフを言う人が、

最期まであなたの面倒を見てくれることはないこと。


なのにこの言葉が世間で飛び交うのは、

端的に言ってこの言葉は儲かるから。

こういうセリフは人気なので、

多数の支持を得られるわけです。


これを言っていいのは、

本当にその発言に対してリスクを取り、

責任を負ってくれる立場の人だけです。


この父性と母性は、どっちも必要だと思います。

父性だけじゃ厳しくて心がすさむし、

母性だけじゃ甘ったれで自立できない。


「お前はそのままじゃダメ」だし、

「あなたはそのままでいい」。

両者がどちらも正しくて、

矛盾することなくバランスをとって、

人が育っていくんだと思います。


ただ、いまの時代は極端に母性に振れすぎているかなと。

優しく優しく過保護に手厚く。

あなたは貴重。個性が尊重されるべき。


一方、父性的な意見はメディアに切り取られやすくフルボッコです。

ひどい、無責任、古い価値観、ハラスメント、、


父性を失った社会は、

これから無数の問題に直面していくと思います。

ややこしいことを避ける雰囲気になると、

誰も社会の面倒を見ようとしないので。


無責任で薄っぺらい優しさよりも、

本当の愛情深さを選んでいきましょうよ。


これからは父性の復権がキーワードです。


小さい頃あんなに嫌だったおっちゃん先生と、

普通に談笑できるようになったことがすごく嬉しかったんですよね。

今までずっと一人では生きていなかった、

たくさんの眼差しがあったです。


甘ちゃんの自分が壁をよじ登って、水中深く潜って、

そうしていかないと人の思いやりなんて理解できない。


ずっと平地に突っ立って、

外野から文句言ってるような評論家になったら

おしまいです。

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